2010年9月10日金曜日

『卒塔婆』

 私が中学校3年の時です。
 友人と帰宅中、ある墓地に出くわしました。その墓地を見て、友人が、

 『卒塔婆が倒れとる!早よ立て直さんと』

 と言ってその墓地に入りました。私も一応手伝おうと思って一緒に、友人の家の墓の卒塔婆を立て直しました。

 その夜のことです。私は変な体験をしました。
 夢のなかで真っ暗な世界にいて、目の前で何かのうめき声が聞こえます。何だろうと思ってよく見たら、何とゾンビっぽい動きをした人たちが、当てもなくぶらぶらしているではありませんか!しかも彼ら五体は、私のところに近づいてくるのです。
 彼らに絡まれた私は、鬱陶しいなあと思いながら、彼らを右腕で振り払いました。

 そこで夢は終わりなのですが、目が覚めると先程の五体の頭部が暗い色合いの光に包まれて、ウワーッという感じで消えていきました。で、気がつくと、私の右腕が布団から飛び出し、夢で振り払った角度で中に浮いていたのです。

 あとで母にこの話をすると、

 『他人の家の卒塔婆なんか触るからや。そんなもん触るんやない、縁起が悪い!』

 …と、叱られてしまいました。

 皆さん…。見ず知らずの家系の墓や卒塔婆は、たとえ乱れていても直すものではないですよ。
 そのまま、どこかに連れ去られてしまうかも知れませんから…。

※この話は、「いずみ」というハンドルネームで『噂の現場』に掲載されたものです。