2010年9月10日金曜日

『姫路の地下商店街』

 今から丁度十年前の出来事です。

 私は、ある画家の作品展示会を見に行くために、姫路市に行きました。
 姫路駅のすぐ近くに「みゆき通り」があるのですが、そこを通っていると、なんとなく道端の占い師が気になって、ちょっとの間見ていました。
 
 すると、その占い師の左上に、炎のように燃えるケモノの顔がバン!と現れました。相当怪しい占い師だなと思った私は、信号が変わってすぐ、まっすぐ歩き出しました。
 けれども、そのケモノの霊が、しつこく私についてきます。
 なもので、念を飛ばすと、それはクルクルクルと素早く渦を巻くように動いて、最後にバーンと空に消えました。

 やれやれと思った私は、余った時間でしばらく地下商店街をうろついていました。
 すると、だんだん頭が重くなって軽い吐き気まで催してきたのです。

 何なのか視てみると、左の視界に白い光の猫の霊、後、私の後ろには数々の霊が、くっついているではありませんか。しかもここを早く出たいのにもかかわらず、一向に地下商店街を出る気にならなかったのです。

 …やっと地上に出てみると、私にくっついていた数多の霊が一斉にバッと離れていきました。
 どうやら彼らは、戦国時代や、世界大戦後まともに葬られる事もなく、そのまま後から作られた地下商店街の中に封じ込められたようでした。

 数十人でしょうか…彼らは感謝の意識を私に伝えると、一斉に上に上がって光となって消えました。

 半世紀以上前に大きな悲しい出来事があったのだと思うと、今の私たちがこうして生きていられるのは、彼らの犠牲があってこそ、と思ってしまいます。
 そして、彼らやまだ成仏していない霊たちが、一刻も早く平和で、幸せな時代に生まれ変わってくる事を、祈りたいと思います。

※この話は、「いずみ」というハンドルネームで『噂の現場』に掲載されたものです。